長時間のゲームプレイで、首や腰は悲鳴を上げていませんか?
「最高の椅子が欲しい」と考えた時、多くのメディアは派手な「ゲーミングチェア」を勧めるかもしれません。
しかし、私は断言します。もしあなたが本気で自分の体と、長期的なゲームライフを考えるなら、選ぶべきは「高級オフィスチェア」です。
私は今、メインの椅子として高級オフィスチェアの代表格である「エルゴヒューマン」を使っています。それ以前はゲーミングチェアの「DXRacer DXR-BKN」を使っていました。
この記事では、なぜ私が高級オフィスチェアとゲーミングチェアを比較し、高級オフィスチェアが優れている理由と、本物の価値を自分自身の体で証明していきます。
目次
そもそも思想が違う。ゲーミングチェアと高級オフィスチェアの決定的な違い
ゲーミングチェアの思想:「休息」のための椅子
深いリクライニング、フットレスト、バケットシート。これらは全て、レーシングカーのシートのようです。
その目的は、強いGがかかる中で体を固定し、合間に「休息」すること。つまり、本質的には「寝る」ための機能が充実しています。
高級オフィスチェアの思想:「集中」のための椅子
人間工学に基づいた緻密な調整機能、前傾チルト、優れたランバーサポート。
これらは、PCと向き合う人間の「正しい姿勢」を、能動的に維持させるための装置です。その目的は、最高の「集中」を持続させることです。
ゲーマーにこそオフィスチェアが必要な3つの結論
ゲーミングチェアは、なぜ私の選択肢から外れたのか。そして、なぜ高級オフィスチェアこそがゲーマーにとっての最適解だと確信したのか。
その理由は、3つのシンプルな結論に集約されます。
必要なのは「楽な姿勢」ではなく「疲れにくい正しい姿勢」

ゲーミングチェアの分厚いクッションは、座っていると楽に感じます。しかし、それは大きな罠です。
多くの場合、それは「間違った姿勢」のまま、体を無理やり支えているに過ぎません。
その結果、数時間後には首や腰やに疲労が蓄積し、体を痛めてしまうことになるのです。
一方、エルゴヒューマンのような高級オフィスチェアは、あなたを甘やかしません。
人間工学に基づいて設計された座面と背もたれは、座った瞬間に、あなたの体を「最も疲れにくい、理想的なS字カーブ」に正してくれます。
最初は少し窮屈に感じるかもしれません。しかし、それはあなたの体が「正しい姿勢」に矯正されている証拠です。
目先の「楽さ」ではなく、8時間後、あるいは数年後も最高のパフォーマンスを維持するための「疲れにくさ」。これこそが、本物の疲労軽減です。
ゲームは「寝ながら」はやらない。「深いリクライニング」は必要?

ゲーミングチェア最大の売りである「180°リクライニング」。確かに、その機能は魅力的に感じるかもしれません。
しかし、冷静に考えてみてください。その角度で、あなたは本当にゲームをプレイしていますか?
答えはNOのはずです。モニターは見えず、コントローラーは操作しにくい。
その体勢は、もはや「プレイ」ではなく「休憩」です。そして、本気で休憩するなら、ベッドで横になった方が、はるかに快適なのは言うまでもありません。
ゲーマーが必要とするリクライニングとは、ムービーシーンを少しリラックスして観たり、マッチングの合間に少し背を伸ばしたりするための、適度な角度です。
その機能は、高級オフィスチェアにも十分に備わっています。
「寝れるほど倒れる」という機能は、ゲーマーにとっては不要なのです。
あなたの部屋は「コックピット」か、それとも「書斎」か

ゲーミングチェアの派手なデザインは、確かに特定の空間(例えば、配信者の部屋)では映えるでしょう。
しかし、多くの人の部屋では、その過剰なデザインがインテリアから浮き上がってしまい、落ち着かない空間を演出してしまいます。
あなたのデスク周りは、本当に点滅するLEDと派手なカラーリングが必要な「コックピット」でしょうか?
それとも、ゲームに深く没入し、時には仕事や勉強にも集中できる、洗練された「書斎」のような空間を目指したいのではないでしょうか。
高級オフィスチェアが持つ、機能から生まれたシンプルで普遍的なデザインは、どんな部屋にも自然に溶け込みます。
それは、あなたの集中力を削ぐ視覚的なノイズにならず、あなたのデスク周りを、より質の高い洗練された空間にしてくれるのです。
【体験談】なぜ、ゲーミングチェアで、腰痛になったのか?
腰を守るはずの「ランバーサポート」が、腰痛の原因だった
私がゲーミングチェアを使っていた頃は、腰痛に悩んでいました。その原因は、腰を守るはずの「ランバーサポート」そのものだったのです。
多くのゲーミングチェアに付属するクッション式のランバーサポートは、ゴムバンドで背もたれに固定されています。
しかし、このゴムが曲者でした。使っているうちにだんだん伸びてきて、クッションがずるずるとお尻の後ろまで下がってくるのです。
結果、背もたれに体を預けると、骨盤が前に突き出される最悪の姿勢が強制される。腰痛が悪化するのは、当然の結果でした。
「もう、見せかけの機能には騙されない。本当に体を支えてくれる、本物の椅子が欲しい」そう決意した私が、たどり着いたのがエルゴヒューマンでした。
私がエルゴヒューマンに求めた、たった4つの絶対条件

数ある高級オフィスチェアの中から、私がエルゴヒューマンを選んだ理由は、以下の4つの条件を完璧に満たしていたからです。
第一印象は「普通」。しかし、数カ月後に腰痛がなくなっていた
正直に告白します。初めてエルゴヒューマンに座った時の感想は、「あれ、こんなものか…」でした。
12万円もしたのに、2万円のゲーミングチェアのような、体を包み込むようなフカフカ感はない。これが、私の第一印象でした。
しかし、本当の価値は、数ヶ月後に訪れました。
ある日、ふと気づいたのです。「そういえば、最近まったく腰が痛くない」と。
エルゴヒューマンのランバーサポートは、ただそこにあるだけではありません。

体重を預けると、その人の体圧に合わせてしなやかに動き、常に背骨を理想的なS字カーブに保つように、静かに、しかし確実にサポートし続けてくれていたのです。
派手な感動はありません。
しかし、気づけば「痛みのない日常」という最高の状態が当たり前になっている。これこそが、エルゴヒューマンの真価でした。
もちろん、座面の前後調整や、アームレストの多彩な可動域など、自分の体を完璧にフィットさせるための機能も充実しています。
いくつかの欠点もある
完璧に見えるエルゴヒューマンにも、欠点はあります。
リクライニングを倒すとアームレストも一緒に傾いてしまう点や、オプションのオットマンが少し短すぎると感じる点です。

しかし、私にとって椅子は「集中するための道具」です。
前述の通り、本気でリラックスしたいならベッドに横になる。そう割り切れるなら、これらの欠点は問題にならないでしょう。
購入を検討している方は、この点を覚えておくと良いです。
どんなオフィスチェアを選べばいいのか?3つの選択肢
というわけで。ゲーミングチェアという選択肢はなくなりました。
では、星の数ほどあるオフィスチェアの中から、ゲーマーにとっての「最適解」はどれなのか。
私が全幅の信頼を置く、3つのブランド(と、その代表モデル)を紹介します。
①【王の椅子】ハーマンミラー アーロンチェア
価格帯:25万円〜
もはや説明不要、「椅子の王様」です。
なぜアーロンチェアが頂点に君臨し続けるのか。その理由は、「何もしなくても、椅子があなたに合わせる」という異次元の体験にあります。

メッシュ状の張地「ペリクル」は、体重を完璧に分散させ、まるで無重力のような座り心地を提供します。
そして、あなたが前傾になれば椅子も傾き、後傾になれば椅子も支える。意識することなく、常に理想的な姿勢を維持してくれるのです。
価格はまさに王様クラスですが、12年という長期保証がその価値を物語っています。
予算に上限がなく、人類が到達した最高の座り心地を求めるなら、選ぶべきはアーロンチェア以外にありません。
②【私の相棒】エルゴヒューマン プロ
価格帯:10万円〜
そして、これが現在私が愛用している「相棒」です。
アーロンチェアが「自動(オートマチック)」なら、エルゴヒューマンは「手動(マニュアル)」の楽しさがあります。
その最大の特徴は、執拗なまでに細かく調整できる機能です。特に、独立して位置調整が可能な「独立式ランバーサポート」は、あなたの腰のカーブにフィットし、腰痛の悩みから解放してくれます。
アーロンチェアほどの滑らかさはありませんが、自分の手で、自分の体のためだけの「完璧な一脚」を組み上げていく感覚は、まるでPC自作のようです。
「調整」という行為そのものを楽しめる、私のようなガジェット好き・PC好きには、これ以上ない選択肢と言えるでしょう。
③【日本製】オカムラ シルフィー
価格帯:8万円〜
「海外製は体に合うか不安…」「10万円以上は少し厳しい…」
そんなあなたにとって、最高の答えとなるのが、日本の誇るオフィス家具メーカー「オカムラ」の「シルフィー」です。
その名の通り、シルクのように滑らかな座り心地もさることながら、最大の特徴は「バックカーブアジャスト機構」。

レバー一つで、背もたれのカーブを、あなたの背中の丸みに合わせて「緩く」したり「きつく」したり調整できます。
海外メーカーにはない、日本人の体格を研究し尽くしたきめ細やかな設計と、信頼の日本製という安心感。それでいて、10万円を切る価格帯から手に入る。
「海外製の高級チェアは、最後の最後で躊躇してしまう」という日本人にこそ、この一脚を強く推薦します。
まとめ:あなたの体を、そして未来のゲームライフを守るために
派手な見た目と、甘い言葉で誘うゲーミングチェア。その魅力は否定しません。
しかし、もしあなたが10年後も、20年後も、健康な体で最高のパフォーマンスを発揮し続けたいと願うなら、選ぶべき椅子は自ずと決まります。
表面的な快適さではなく、本質的な健康を。一時的な休息ではなく、持続可能な集中を。
それが、私が高級オフィスチェアを選び続ける、たった一つのシンプルな理由です。あなたの体を預けるに値する、本物の「相棒」を見つけてほしい。